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(12)ミュンヘン~チューリッヒ [2002初夏 友人たちとヨーロッパの旅]

7/6(土)ミュンヘンHbf12:14→チューリッヒHbf16:29


Zurich/Hotel Ambassador  3泊(シングル780CF(3泊分朝食込)


  雨模様の朝、ホテルをチェックアウトし、タクシーで中央駅まで。

↓列車に乗る前のIさん、E子さん


DSCF0081.JPG



駅構内に焼きソーセージ屋さんがあり、テイクアウトして、列車のなかで車内ランチ。列車は西へ国境を越え、ところどころに美しい湖の眺めを楽しみながらほぼ定刻にチューリッヒ中央駅に到着。チューリッヒは今回の旅の最後の滞在地です。なるべく歌劇場の近くに泊まりたかったので、劇場真裏のホテル・アンバサダーに3泊しました。スイスは物価が高いので、今回の旅の中では一番高いホテル代になりました。当時のレートで1泊2万円くらいでした。

ホテルはネットで予約できたのですが、問題だったのはオペラのチケットです。この時はFAXで申し込み、代金は銀行振り込みだったのです。そのためパリやミュンヘンに比べるとかなり高額になりました。そのうえ追加のチケットがとれたかどうかの返信が遅れ、「椿姫」を1枚余分に取ってしまったのです。ホテルで休養する間ももどかしく、開演1時間前に劇場の前に立ちチケットをさばこうとしましたが、上手くいきません。そんな私をみかねて、親切な青年が窓口に一緒に行って、売り場の人に払い戻しを頼んでくれました。当然キャンセルはできません。あきらめて、上の天井桟敷の席というこの好青年に差し上げると言ったのですが、上階のほうが音響が良いからと辞退されてしまいました。
そこへチケットの当日券を買いに現れた若い女性。窓口の係りに見られないように、陰に隠れてこっそり交渉。結局半額で譲ることになりました。この女性はロシア人で、お化粧や雰囲気がバレリーナのようで綺麗な方。舞台が終わった後、良い席で素晴らしいオペラが聴けたわと感謝され、嬉しかったです。

 

♪~ヴェルディ『椿姫』 19:30開演@チューリッヒ歌劇場



指揮:カルロ・フランチ    演出:ユリゲン・フリム

ヴィオレッタ:エヴァ・メイ   アルフレッド:ジュセッペ・フリアノーティ
ジェルモン:レオ・ヌッチ


席はファーストカテゴリー2階バルコンやや左の前列27100円(振込手数料込み)

 

 

 

さて、この公演のお目当てだったハンプソンはキャンセルの張り紙。がっかり。でも代役がヌッチなので、あまり文句も言えない気がしました。
エヴァ・メイはとても綺麗な声と容姿なのですが、繊細ではあるが、ヒロインとしては優等生的という感じで、線が弱いのが私には物足りなく思えました。フリアノーティとヌッチはまあまあ。小振りでクラシックなチューリッヒ歌劇場は気にいったのですが、この日の演奏にはいまいち乗れなかったのは友人たちも同様とのこと。ヴェルデイのドラマチックな盛り上げに欠けた舞台は少々残念。簡素な舞台装置も地味過ぎだったのです。
華美で空虚なデミ・モンドの世界から最後の薄幸なヴィオレッタの天に召されるシーンまで。文学的演劇的な表現がオペラとして昇華されないと、「椿姫」を観たと言う満足感は得られないのでしょう。オペラにのめりこむようになって数年。なかでも「椿姫」は道新教室でも一番多く鑑賞し、実舞台も札幌やオランジュ、パリと観てきました。

生意気にも求めるものも高くなってきているのかもと感じたチューリッヒの夜。。。

隣席の日本人のシニアの男性の方、今年のチューリッヒはぱっとしないと翌日観る予定の『オテロ』も酷評。(う~ん 聞かなければ良かった 汗)

 

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終演は10時半ころ、夜食はホテルのレストランが満席とのことで、ロビーにビールやチーズ、サラダなど運んでもらい、おしゃべりしながらいただきました。

↓バルコンの席で

DSCF0085.JPG

 

 

参考映像:GIUSEPPE VERDI『LA TRAVIATA』

 

 
ヴィオレッタ・・・・・テレサ・ストラータス(ソプラノ)
フローラ・・・・・・アクセル・ガル(メゾ・ソプラノ)
アンニーナ・・・・・ピーナ・チェイ(ソプラノ)
アルフレード・・・・・プラシド・ドミンゴ(テノール)
ジェルモン・・・・・・・コーネル・マクニール(バリトン)
ガストーネ子爵・・・マウリッツオ・バルバチーニ(テノール)
ドゥフォール男爵・・・アラン・モンク(バリトン)
ドビニー侯爵・・・・・リチャード・オネット(バス)
医師グランヴィル・・・ロバート・ソファー(バス)
ジュゼッペ・・・エルネスト・ガヴァッツイ(テノール)
フローラの召使・・エルネスト・パナリエッロ(バス)
使者・・・・シルベストロ・サッマリターノ(バス)
管弦楽:メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団
バレエ:ヴォリショイ劇場バレエ団
指揮・音楽監督:ジェイムス・レヴァイン
監督・脚本・美術:フランコ・ゼッフィレルリ
制作:1982年 ローマ 
*道新教室でみた映画版のもの。さすがゼフィレッリ!豪華版

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(11)ミュンヘン [2002初夏 友人たちとヨーロッパの旅]

7/5(金)

 この日も友人たちとは別行動。喧嘩をしたわけではありません。先日体調が悪くなってノイエ・ピナコテークをパスした私に配慮してくれたのです。一緒に外出して、彼女たちが見つけた近くの日本食のレストランを教えてもらってから分かれて、私はノイエ・ピナコテークへ。一昨日、アルテ・ピナコテークで購入済みのコンビネーションチケットを使えました。寒いくらいだった昨日と違い、今日は暑くなりました。


☆ノイエ・ピナコテークNeue Pinakothek(2)

  1995年に次女と訪れていますので、今回は19世紀のドイツ絵画を主に鑑賞することにしました。ドイツロマン派からナザレ派、そしてベックリーンから始まる近代への歩み。世紀末ミュンヘン(ユーゲントシュティール)の美学も見逃せません。そして20世紀に入るとミュンヘンで結成された<青騎士たち>カンディンスキー、クレーなど。シュトゥックやマルクなどあまり知られていないけれど忘れがたい作品にも会える美術館です。


↓JOHANN FRIEDRICH OVERBECK オーヴァーベック「イタリアとゲルマニア」1828 (94.4×104.7)


左の月桂冠の女性はイタリアを右のブロンドの女性はゲルマニアを表しています。ナザレ派の画家はローマで宗教的な共同生活を送り、宗教美術の刷新を目指しました。この作品はドイツ中世への回帰と南方イタリアへの憧れが背景の景色とともに描かれています。



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  Arnold Böcklinベックリン「波間の戯れ」1883 180.3×237.5
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↓シュトゥック「原罪」1893年 96×59.7  蛇が絡みつく女=原罪のエヴァとは簡単に推察できない何かがうごめいているような怖い作品です。世紀末の男を破滅へと導く「ファム・ファタル」、革新的な俗悪さに秘めた世紀末の象徴主義。当時のミュンヘンの画壇に君臨したシュトゥックはミュンヘンで発行された芸術誌「ユーゲント」の中心人物でもあり、時代の寵児だったのです。


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初回の訪問で紹介したクリムトやクノップフの名品を鑑賞後、館内のカフェでビールとサーモンのパスタのランチ。帰途、和食屋で夜食用にお寿司をお持ち帰り。仮眠の後、生寿司のほうを少し食べてから劇場へ。


♪~ベッリーニ『清教徒』19:00~ @バイエルン州立歌劇場


舞台は私の好きなロマネスク聖堂風な建物、石壁が厚くシンプルな窓から

さす光は柔らかい。衣裳の色遣いも抜群のセンスです。プログラムには

↓ヴァン・ダイクの「Konigin  Henritta  Maria」の美しいチャールズ1世の妃の肖像画。

 

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エルヴィラの衣装や髪飾りなどはこの絵を参考にしたようです。このモデルはフランスからイギリス王家に嫁いだエンリッタ(劇中ではイタリア名エンリケッタ)オスカー・ワイルドの同名の詩が添えられて興味をそそられました。

エルヴィラの淡いグレイのサテンのドレスが石壁に美しく映えて。グルベローヴァのあの!!狂乱のコロラトゥーラは鳥肌のたつほどの感動。人間の声でこんなにも清らかで一途な表現ができるものなのか・・・と。

観られなかった東京でのボローニャ引越公演ではアルトゥーロをサバティーニが歌って大喝采だったそうですが・・・さて、ミュンヘンでのクンデです。尻上がりによくなったものの序盤は苦しげでした。

高音も振り絞ってようやくという歌唱で、がっかり。クンデはこの後だったと思いますが、「トロイの人々」(パリ・バスチーユ)は素晴らしく、復調してました。合唱は良かったのですが、他の歌手たちはほとんど印象に残らないほど・・・圧倒的なグルベローヴァの歌唱でした。。舞台袖のバルコン(右側・

)にずーっと詰めてらしたヨナスさんに、カーテンコールのとき誇らしげな笑顔で会釈するグルべ様でした。生きているうちにこれ以上のエルヴィラを聴くことはないでしょうねと友人たちと話しながら満足感と寂寥感、複雑な気持ちを抱えてホテルに帰りました。

 

参考映像:Vincenzo Bellini『I Purtani』  2001 バルセロナ・リセウ劇場ライヴ盤

 

指揮:フリードリッヒ・ハイダー   演出:アンドレ・セルバン

 

ヴァルトン卿:コンスタンティン・ゴルニー   ジョルジョ:シモン・オルフィラ    アルトゥーロ:ホセ・ブロス   リッカルド:カルロス・アルバレス   エンリケッタ:ラクエル・ピエロッテイ

エルヴィラ:エディタ・グルベローヴァ

 

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(10)ミュンヘン [2002初夏 友人たちとヨーロッパの旅]

7/4(木)

 今日は私一人がオペラ観劇『ワルキューレ』です。開演16:00なのであまり時間もなく、天気も悪いので近くを散策することにしました。州立劇場に隣接するレジデンツを見学。旧バイエルン王国ヴィッテルスバッハ王家の王宮。現在は博物館や劇場として公開されています。11時のからくり時計に間に合うように駆け足で回りマリエン広場へ向かいました。日本人ツアーの人たちに交じって見学。それにしても盛夏とは思えない冷たい雨が降ってきました。近くのデパートに駆け込み、厚手のレインコートや木綿編みセーターなどの買い物。どちらもサイズが合わず大きすぎですが、意外に重宝しました。宿に戻り休憩後劇場へ。


これまでの私の数少ないオペラ体験の中で、もっとも強力な印象を与えてくれた演出家はヘルベルト・ヴェルニケでした。彼の演出する『ワルキューレ』がミュンヘンであるとのことで、旅の予定はこの公演を中心に立て、無事にチケットも2月に予約。とても楽しみにしていたのです。

ところが、ヴェルニケは4月にバーゼルの路上にて倒れ、急逝してしまったのです。享年56歳。
そのニュースは地元の北海道新聞にも載ったほど。クラシック界のニュースはあまり取り上げられないので、夫が見つけ教えてくれました。ショックで、しばらく呆然。。。

ヴェルニケは自分の演出ではいつも装置や衣装も手がけ、その隙無く構築された舞台には魅了されました。女性歌手の衣装は常にエレガントなドレス姿。横向きに配する立ち姿の美しさは今でも目に焼きついています。時には大胆な読み替えも、私には少しの違和感もなく、洗練され、知的な刺激に満ちたものでした。完成することはなかったのですが遺作となった『ワルキューレ』。プログラムにも追悼記事が組まれ、ヨナス氏やニケ・ワーグナー女史の追悼文などに、多くのページが割かれています。ドイツ語なので読めないのは残念。


↓ワグナーの像を見上げるヴェルニケとニケ・ワーグナー?プログラムから転載


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 いよいよ幕が上がり、序曲が始まると胸が詰まり、熱いものがこみ上げてきました。今はただ冥福を祈るだけ・・・。


♪~ワーグナー『ワルキューレ』16:00開演 席は平土間前方左端。


指揮:ズービン・メータ  演出:ハンス・ペーター・レーマン/コンセプト:ヘルベルト・ヴェルニケ

ジークムント:ペーター・ザイフェルト   ジークリンデ :ワルトラウト・マイヤー
  ウォータン :ジョン・トムリンソン     ブリュンヒルデ:ガブリエレ・シュナウト
  フリッカ      :藤村実穂子             フンディング :クルト・リドル



 歌手たちも錚々たるメンバーを集め、メータの明快な指揮やオーケストラの輝かしい響き。席も平土間の前(4.5列目?)の左側。打楽器がやや左壁に反響するのにも慣れてきて、ワーグナーの世界にどっぷり。
舞台はバイロイトの歌劇場の内部を模して、中央にはワルハラ城の小さな模型が見える。1幕で剣を抜くシーンはトネリコの木が中央に倒れて置かれていて、意外に簡単に抜いてしまうのであれれ!マイヤーが昨年のウィーンの時より痩せていて、そのためか声にあのときの艶やかさには及ばない。ジョン・トムリンソンは全盛期を過ぎたとはいえ、この役はやはり彼しか考えられない。
2幕の騎行の場面、乙女たちは華やかなロングドレスにミリタリーなカーキ色のトレンチコートスタイルで、せっせと戦死した兵士たち(人形)を運ぶ。
3幕の父と娘の別れは、恋人たちの別れのように切ない。シュナウトは初めて聴いたのですが、登場した時から全開の見事な歌唱に驚きました。ザイフェルトは一時不調とのことで心配でしたが、素晴らしい歌唱で、完全復帰といっていいでしょう。ジークムントにしてはやや軽めなテノールかもしれないが、悲劇のヒーローらしい切なさと若さが表現されていました。藤村も完璧なフリッカ!最後のシーン岩山に炎が点火される場面はちょろちょろの炎で物足りない。そのせいか幕が下りたとたんにブーが飛んで。天国のヴェルニケにもこのブーが届いたような気がして、思わず首をすくめてしまいました。今でもあのときの舞台が鮮烈に蘇ってきますが、ところどころ何故一角獣が?とか不明な部分も。でもメータの指揮やオーケストラも含めて一体感のある優れた舞台で、ワーグナーを満喫できました。

30分の休憩2回を含めて6時間。疲れ果てお粥の夜食。


参考映像:ワーグナー:楽劇《ヴァルキューレ》全曲1980年収録/クラシカジャパンで放映

ジークムント…ペーター・ホフマン(テノール)
フンディング…マッティ・サルミネン(バス)
ヴォータン…ドナルド・マッキンタイア(バリトン)
ジークリンデ…ジャニーヌ・アルトマイア(ソプラノ)
ブリュンヒルデ…グィネス・ジョーンズ(ソプラノ)
フリッカ…ハンナ・シュヴァルツ(メッゾ・ソプラノ)
ゲルヒルデ…カルメン・レッペル(ソプラノ)
オルトリンデ…カレン・ミドルトン(ソプラノ)
ヘルムヴィーゲ…カティ・クラーク(ソプラノ)
ヴァルトラウテ…ガブリエレ・シュナウト(メッゾ・ソプラノ)
ジークルーネ…マルガ・シムル(ソプラノ)
グリムゲルデ…イルゼ・グラマツキ(アルト)
シュヴェルトライテ…グェンドリン・キレブリュー(メッゾ・ソプラノ)
ロスヴァイゼ…エリーザベト・グラウザー(アルト)

バイロイト祝祭管弦楽団
指揮:ピエール・ブーレーズ
演出:パトリス・シェロー


参考CD:ワーグナー:楽劇《ヴァルキューレ》全曲1965年収録

ジークムント・・・ジェームス・キング

ジークリンデ・・・レジーヌ・クレスパン

フンディング・・・ゴットローブ・フリック

ヴォータン・・・ハンス・ホッター

フリッカ・・・クリスタ・ルードヴィッヒ

ブリュンヒルデ・・・ビルギット・ネルソン

オルトリンデ・・・ヘルガ・デルネッシュ

ヴァルトラウテ・・・ブリギッテ・ファスベンダー

シュヴェルトライテ・・・ヘレン・ワッツ

ヘルムヴィーゲ・・・ベリット・リンドホルム

ジークルーネ・・・ヴェラ・リトゥル

グリムゲルデ・・・マリリン・タイラー

ロスヴァイセ・・・クラウディア・ヘルマン


指揮・・・サー・ゲオルグ・ショルティ

ウィーン・フィルハーモニー


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